セリーヌ・ルーとパフューマーのアン・フリッポ、ファブリス・ペレグリン、マリー・サラマーニュが、ジョー マローン ロンドンの新しいブロッサムズのインスピレーションを話します。

毎年、ジョー マローン ロンドンでは自然そのものや春の到来を祝し、花の香りから構成されるブロッサムズを発売しています。「今年は『春の花々』を超え、よりスケールを拡大し、自然の中の花を咲かせる木々に着目することで、『新しい季節の到来』を祝えたらと思いました」とセリーヌは説明します。2023年のフレグランス３種は、中国の樹木に特に焦点を当てています。「インスピレーションを求め、何度も中国を訪れていますが、中国の花には惹かれるものがありました。今年のコレクションでは、オスマンサス ブロッサム、ナシ ブロッサム、スター マグノリア という過去に発売された花の香りのフレグランスを組み合わせました。それぞれ異なる特徴を持つフレグランスではありますが、いずれも春の喜びや、自然の一部であるという実感を表現した香りです。」

セリーヌが初めてオスマンサス（ギンモクセイ）の花に出逢ったとき、小さな花がとても力強い香りを持っていることに驚いたと言います。「桃や柔らかいスエードの香りを組み合わせたような独特な香りに惹きつけられました。天然の香りを抽出できる花はあまり多くありませんが、ギンモクセイはそれが可能な花の１つで、フレグランスに使用するモチベーションがさらに高まりました。」オスマンサス ブロッサムの使用を決めたのは、パフューマーのマリー・サラマーニュでした。「ギンモクセイの香りが花びらの間を通り抜ける空気感や、輝きを表現したいと思いました。」と彼女は言います。「ギンモクセイはフルーティーでスエードのような香りを漂わせ、香りに重みのある他の白い花とは全く異なります。フレグランスに使用できる花の中で最もフルーティーな香りのある花だと思うので、ジョー マローンのスタイルの軽くエアリーな香りを作り出すのが課題でした。また、カシミアウッドと組み合わせることで、高揚感がありつつも柔らかさと説得力がベースにあるようにバランスを取りました。」

黒い斑点のある白い花のナシ ブロッサムは、その美しさに惹きつけられました。モノクロ的な見た目がジョー マローン ロンドンのスタイルにピッタリだと感じられたのです。「この繊細な花をナシのジューシーさ、フルーティーさと組み合わせることで、魅惑的な対比を追求しました。」とセリーヌは言います。このフレグランスを担当したファブリス・ペレグリンによると、すべてはバランスだったとのこと。「このフレグランスを作り出す過程で、ナシの木全体をイメージしました。トップノートとハートノートには果実と花の香りを使い、ベースノートには柔らかい木の香りを使用しました。」とファブリスは言います。「木のあらゆる部分の理解に努めた結果、フルーティー、フローラルの香りにすっきりとしたモダンな印象を加えられたのだと思います。ナシ ブロッサムのフレグランスでは、完璧なフローラルの香りにピリッとしたグリーンの香りと柔らかなウッドやムスクの香りが合わさっており、ナシの特徴がよく表現されています。リンゴと洋ナシを合わせたようなシャキッとしたかじりつきたくなる感じがありつつも、柔らかさやデリケートな雰囲気もある。そこにフローラルも組み合わさり、遊び心のあるエレガントさを作り出しています。」

ブロッサムズ最後のフレグランスはスター マグノリアです。このフレグランスにも独自の誕生秘話があります。セリーヌが2014年に上海を訪れたときのことです。「街中の公園にスター マグノリアがたくさん植わっていて、白い花の美しさと素敵な香りにうっとりと魅了させられました。そこで、この香りをフレグランスに使おうと思ったのですが、スター マグノリアは通常、パフューマーのパレットには存在せず、抽出するのも難しい香りなので課題となりました。上海の公園で嗅いだ香りを再現するため、翌年、スター マグノリアが満開の頃に、パフューマーのアン・フリッポの下、テクニカルチームに上海へ行ってもらいました。その際、枝に咲いているスター マグノリアを見つけ、ヘッドスペース テクノロジーを使用して香りの分子を捉えました。ジョー マローン ロンドンでこの技術を使用したのは、このときが初めてでした。」

技術的な課題に苦戦しながらも、アン・フリッポはヘッドスペースを使用して見事にスター マグノリアの香りを捉えて分析し、美しいフローラルの香りを作り出すことに成功しました。「初めはトップノートのレモン、ジンジャー、シソの葉が香り、その後ハートノートのマグノリア、最後にオレンジブロッサムとマグノリアの葉が香ります。」と説明してくれました。「ベースにはウッディ、クリーミーなサンダルウッドとセンシュアルアンバーを使用しています。この香りが合わさることにより、フレッシュさのあるフローラルな香りが完成しました。」

ブロッサムズの３種類のフレグランスはそれぞれ異なる特徴や香りを持ちつつも、すべて春の訪れを祝うものとなっています。あなたは、どれがお好みですか？

オスマンサス（ギンモクセイ）の花は小さいながらもくらくらとするようなエキゾチックな香りを漂わせます。そこに意外性のあるフルーティーなアプリコットの香りと、柔らかいスエードのような香りを組み合わせました。中国の小さなギンモクセイの花が中心となり、甘美で輝くようなフレグランスオスマンサス ブロッサムが完成しました。.